ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから依然、事態は収束のめどが立っていません。そんな先行き不透明な中、金投資に注目が集まっています。読者の方の中にも金投資をしている方がいるのではないでしょうか。そこで、今回は金投資で利益が出た時の税金の取り扱いについてお話しします。
昔から「有事の時は金」といわれ、戦争やテロ、政治不安など、世界経済を揺るがすような事態が起きると決まって「金」投資に注目が集まります。ここ最近は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大、ロシアによるウクライナ侵攻や北朝鮮リスクなどがあり、資産の避難先としての金の価格は高値を推移しています。2020年のコロナ禍の時には、一時1トロイオンス=1940ドルを突破。2011年につけた史上最高値を9年ぶりに更新しました。
なぜ、金投資に注目が集まるのかというと、株や債券は発行体が倒産してしまった場合には価値がゼロになってしまうかもしれませんが、実物資産である金は、価格が下がることはあっても、価値がゼロになることはないからです。
また、万が一、日本経済が破綻するようなことがあったとしても、金は世界中どこにいっても取引できます。お金持ちの人は、世界経済が危機になると、金やプラチナなどの実物資産に資産をシフトさせる傾向にあるよう。それだけ、有事のときには「金」が頼りになるということですね。
現在、金が高値ということもあり、金投資をしている方もいると思いますが、意外に知られていないのが金投資で利益が出た時の税金の取り扱いです。実は、金は投資の仕方によってかかる税金が変わります。代表的な金投資を例に税金の取り扱いについて見てみましょう。
金価格への連動を目指して運用される投資信託には、金ETFをはじめ、いろいろな商品がありますが、通常の投資信託と税金の取り扱いは同じです。投資信託の値上がり益や分配金は、いずれも申告分離課税となります。
分離課税とは、他の所得と切り離して税額を計算する課税方法です。他の所得とは関係なしに合計20.315%の税金がかかります。
原則として確定申告は必要ですが、金融機関の口座のうち「特定口座(源泉徴収あり)」を利用した場合は、利益が出るたびに金融機関が税金を計算して、自動的に納めてくれるため、確定申告の手間をなくせます。
それ以外の「特定口座(源泉徴収なし)」「一般口座」を利用した場合は、確定申告が必要になります。